南海トラフ地震の発生で大津波警報が発表されたと想定し、紀宝署は29日、紀宝町鵜殿の同署を拠点に津波避難誘導訓練を実施した。
同署は海抜4.6メートルで津波浸水区域にある。地震発生から5分で津波が到達し、最大11メートルの波高だと、署の2階天井部分まで浸水する想定。有事の際は、署の機能を紀宝はぐくみの森(紀宝町神内)に移転する。昨年12月に同町との間で覚書を結んでおり、今年2月には緊急移転の訓練を実施した。
今回の避難訓練は昨年に続き2回目。県警の中で津波想定区域に位置する署は一部に限られており、春の異動で同署に着任した署員らを中心に22人が参加した。午前10時、熊野灘沖を震源とする地震が発生し、同署管内で震度7を観測、三重県南部に大津波警報が発令されたと想定。署長室で幹部会議中だった松田新吾署長が担当者から報告を受けると、すぐに避難に向けた指揮命令を出した。各署員は施設の安全と施錠を確認し、順次、署から400メートルほど離れた平島高台(海抜20メートルの一時避難場所)に5分以内での避難を目指した。道中での家屋倒壊などの被害状況を県警本部と共有するため、各署員が携帯する災害カメラ機能付きのスマートフォンで撮影し、高台に避難完了後、本部に送信する訓練も併せて実施した。
続いて、国道42号を挟んで海側にある、鵜殿地区1組津波避難タワーに移動。町防災対策課の堀勝之課長から施設概要と同町の災害対応の説明を受けるとともに、施設内を見学した。最上階は避難者をヘリコプターで救助するピックアップスペースになっており、松田署長も現場を確認し、疑問点について堀課長に確認した。
松田署長は「初めて訓練した署員も実際の避難を経験して津波の浸水域にあることを理解してくれたと思う。今日は昼間の晴れの天候だったが、雨の日や夜間に発生することもあり、避難の最中に住民の誘導を行う必要もある。訓練を繰り返しながら練度を高めていくことが大切」と述べ、「署員を被害に遭わせないことと、災害後も警察活動に影響が出ないようにすることが私の務め」と気を引き締めた。
