紀宝町は3月31日、医療機器を備えた移動式診療車「モバイルクリニック」の運用を開始した。高齢化の進行に伴う医療アクセスの課題と、災害時の医療体制強化に対応する取り組みで、地域医療と防災の両面を担う拠点として活用する。
同日、町役場で事業開始式が行われ、関係者にワゴンタイプの車両「マルチパーパスモビリティ(マルモビ)」が披露された。車内にはポータブルレントゲンや超音波装置、心電図モニター付き除細動器などを搭載。平常時は高齢者やへき地への巡回診療、学校健診、公共イベントでの救護所、災害訓練、教育や研修などに活用する。災害時には救護車両として避難所などで応急診療や医療支援に対応する。最大10人乗りで、設備は取り外し可能とし、柔軟な医療活動に対応できる。
事業は、産官学医の連携によるまちづくりの一環。事業費は車両約1000万円、装備品など約1300万円で、宝くじ助成やデジタル田園都市国家構想給付金などを活用した。
車両は相野谷診療所に配備し、町内を巡回する身近な移動診療所を目指す。今年度は県や保健所と連携しながら段階的に運用を広げるほか、訪問看護や在宅医療の支援も視野に入れ、同町井田のくまのなる在宅診療所の在宅医療の現場などでも利用する予定。
「人の命最優先に」
開始式で、町地域医療研修センターの森本真之助センター長(相野谷診療所長)は「地域医療と防災をつなぐ車両。地域の方々とともに活用し、人の命を最優先にしたまちづくりにつなげたい」と述べた。向井美樹也町長は「平時と有事の双方で役立て、イベントなどを通して町民にも知ってもらいたい。他地域の災害時にも迅速に派遣できれば」と期待を寄せた。
車両を相互貸与 災害時連携協定
同日は、車両を提供する株式会社トイファクトリーとの「マルモビパートナーシップ協定」も締結した。協定を結ぶ自治体や企業同士が、災害時に車両の相互貸与などで協力を図るもので、3月末現在、全国15自治体などが参加。県内では同町が初めて。
同日は、車両を提供する株式会社トイファクトリーとの「マルモビパートナーシップ協定」も締結した。協定を結ぶ自治体や企業同士が、災害時に車両の相互貸与などで協力を図るもので、3月末現在、全国15自治体などが参加。県内では同町が初めて。
同社TFME事業部の鈴木浩平事業部長は「日本中に広がる助け合いの協定。地域医療と住民の安心につなげていただければ」と述べた。
