台風10号は28日午前9時現在、奄美大島の北北東約100キロにあり、非常に強い勢力で北西に向けてゆっくりと進んでいる。30日(金)から31日(土)ごろにかけて和歌山県に接近するおそれがあり、和歌山地方気象台は、台風が近づく前から降水量が多くなるため、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水に十分注意するよう伝えている。
気象庁によると、台風は同時刻現在、北緯29度10分、東経130度にある。中心気圧は935ヘクトパスカルで、中心付近の最大風速は秒速50メートル、最大瞬間風速は秒速70メートル。
和歌山地方気象台は、和歌山県では29日夜のはじめ頃から31日ごろにかけてうねりを伴った高波に警戒し、30日(金)から31日(土)ごろは暴風に警戒するよう伝えている。また、台風接近前から紀伊半島南東斜面を中心に降水量が多くなる見込みで、雨雲が予想よりも発達・停滞した場合は、28日夜のはじめ頃から31日(土)ごろにかけて警報級の大雨となる可能性がある。
津地方気象台は「三重県には、台風周辺や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気が流れ込み、大気の非常に不安定な状態となっています。このため、雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降り、大雨となる所があるでしょう。この状態は、9月1日頃にかけて続く見込みです。また、うねりを伴った波の高い状態が続き、29日からは、しけや大しけとなる見込みです」と注意喚起している。
雨の予想は南部の多いところで28日午前6時から29日午前6時までに200ミリ、その後30日午前6時までおよび31日午前6時までにそれぞれ300ミリとなっている。
30日に予想される最大風速は南部の海上で22メートル、陸上で10メートル、最大瞬間風速は海上で35メートル、陸上で20メートル。波は29日がうなりを伴い5メートル、30日がうねりを伴い6メートルで、その後も大しけが続く見込み。
28日に会見した加藤千速市長は「速度が遅く、気象庁も進路が読めないよう。市としても、早め早めに情報を得て、伝えていく。避難所を速やかに開設できるように準備している」と話し、住民にも早めの対応を呼び掛けていた。
交通・物流に影響
配送「余裕持った出荷を」
列車は計画運休か
台風10号は28日現在、暴風域を伴う強い勢力で日本列島に接近しており、9月2日(月)ごろにかけて道路状況の悪化と交通規制が予測され、すでに一部のフェリー、航空機は欠航、鉄道は遅延が発表されている。交通のみならず物流にも影響が懸念される。
■配送に遅れの可能性
ヤマト運輸は28日朝、9月1日(日)にかけて、全国を発着する荷物の預かりや配送に大幅な遅れが生じる可能性があると発表。地域によっては安全管理の観点から、荷物の預かり、配送、営業所業務を一時的に中止する可能性があるという。特に九州全域あての荷物は遅れが生じる可能性が高く、利用者に対して、余裕を持った出荷を勧めている。
佐川急便も28日朝、台風の進路によっては荷物の預かり・配送を停止する可能性があり、余裕を持った発送に協力を呼び掛けている。また、台風通過後も一時的に長距離輸送に乱れが生じることが見込まれており、通常の配送に比べ時間を要する可能性があると伝えている。
日本郵便は、郵便局の窓口、配送、集荷などの業務を一時休止する場合があるとしている。また、船舶便・航空便の欠航などにより、全国的に郵便物・ゆうパックなどの配送に遅れが生じる可能性がある。
■飛行機も欠航になる可能性
JR西日本は27日、近畿エリアの広い範囲で30日(金)以降、計画運休で運転を取り止める可能性があると発表。今後の台風情報、列車の運行情報に注意するよう呼び掛けている。特急「くろしお号」「南紀号」その他在来線の運行情報は、JR西日本またはJR東海ホームページで確認できる。
南紀白浜空港~羽田空港(東京)間の航空便を運航する日本航空(JAL)は28日、九州・沖縄離発着の便で欠航などの影響が発生していると発表。南紀白浜空港離発着便は28日現在で運航しているが、今後の台風の進路によっては影響が予想される地域や期間の拡大が懸念されるという。台風10号により影響が見込まれる便については、手数料を要さず便の振り替え・払い戻しができる。