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この町が好きです 働く若者に仕事のやりがいを聞く

「漁の尾鷲」盛り上げたい 橋本映里奈さん
 生粋の尾鷲っ子で、尾鷲中と尾鷲高では吹奏楽部でフルートに熱中。卒業後は名古屋の専門学校で音響を学んだ後、学校の卒業アルバムなどを制作する会社に就職。1年半ほど働いた後「名古屋もいいけど、やっぱり尾鷲で暮らしたい」と思い、地元でまずは仕事を探そうと考えて実家に帰ると、家業を手伝うべく雨合羽と長靴が既に用意されていたという。
 「元々古いデザインの店のホームページが気に入らなかった。もっと多くの人に尾鷲の魚を知ってもらえればいい」と、家の仕事を手伝うのと同時にインスタグラムでの宣伝を提案して自分で手掛け始めた。昨年末に新しいホームページが完成し、さらに情報発信を強化する。
 「最初は濡れたり汚れたりすることに戸惑いはあったが、慣れれば仕事だし仕方ないなという感じ。力仕事もあってきつい時もあるけど、自分がかかわった魚に高値がつくと、『よしっ』という感じ」と話す。「魚市場で見かける20代の人は5人もいないので、もっと増えてほしい。同世代がいればもっと尾鷲の漁業も盛り上げられる」と若い漁業の担い手の少なさに危機感を訴える。
 「尾鷲は不便という声もあるけど、今は欲しいものはネットで買えるし、都心は遊びに行くくらいで十分。大学に進学した同級生が就職する年齢だけど、地元帰ってくる子もいる」「同級生には尾鷲に戻ってきたいという子も結構いる。子育てしやすいまちにしていけば、戻ってくる人も多いと思う」と、同世代の若者が増えることに期待している。
 
離れ離れの友達を思う 立岡ななみさん
 子どものころから地域のお年寄りに囲まれてきたので、「今の仕事は向いていると思う。お年寄りの人の役に立てるのはうれしい」と話す。一方で、地元を離れた友人たちに寄せる思いも深い。「いつも一緒が当たり前だったので、離れ離れになってやっぱりさみしい」とこぼす。
 「二十歳のつどい」を間近に控え、進路についての悩みを聞く機会も多いという。「地元に戻って働きたいという子もいるが、働く場所がない、手に職がないと難しいという話は聞く。みんなが自分の人生についていろんなことを考えていて、私にはよく分からない話も多い。アドバイスとかはできないけど、自分は話を聞くぐらい」。
 都会の憧れはあるか、と尋ねると「もし自分が進学してたら、という感じの憧れはある。友達のところに遊びに行ったことはあって楽しいけど、やっぱり住むなら地元がいい」と力を込める。半面、「地元にもみんなで集まれるところがもっとあればいいかな。話すのが好きだけど、やっぱり外は寒いし、どうしても家になる。おしゃれなカフェとか、カラオケとか」とも語った。
 
趣味は充実 半面、孤独も 三浦光貴さん
 仕事をしていて一番うれしかったことは、自分が育てた魚を買い戻して、実家や友達にふるまい『すごくおいしい』と喜んでもらえたこと。「とんでもなくうれしかった」と笑顔で話す。
 釣りとダイビングが趣味。休日は尾鷲や串本の海に潜り、ときには伊豆や高知まで釣りのために足を運ぶ。珍しい魚を捕まえて飼育するのが趣味で、水槽を置く場所を確保するために寮に入らず市内に一軒家を借りている。
 休日は一人で楽しめる趣味を満喫するが、「会社と家との往復で会社以外の人と交流する機会がない。異性どころか同性の友達もできないし、家庭が持てるのかもちょっと不安」とこぼす。
 3年前のヤーヤ祭りは「めちゃめちゃ酒を飲む祭りと聞いていて、その時はまだ未成年だったので、行けないな、と思って仕事していた」と振り返る。
 若者が市外へ流失してしまうことについて、「都会は遊ぶところがたくさんあるというが、こっちの海や空気のきれいさの方がよっぽどすごい。ただ、ここで生まれ育った子が都会をうらやましがるのも分かる」「まちに同世代が少ないのは肌で感じるが、若者世代を住みやすくする施策がない。子育て世代に手厚いまちにすることが重要だと思う」と話した。
 
 
 
 

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