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社説「和歌山県議の報酬増額 納得を示せ」

 和歌山県議会9月定例会で県議の報酬引き上げが可決された。10月1日から月額4万円増の81万円。県議報酬の改定は約20年ぶりという。県特別職報酬等審議会から知事や県議など特別職の報酬引き上げに関する答申を受けてのものだが、物価高騰が続き、家計のやりくりに苦しむ県民が少なくない中で、自らの待遇改善を決めたことに違和感を覚える人は多いだろう。一部では慎重論も出る中、賛成多数で決した以上、県議会は県民に対し、これまで以上に重い説明責任を負うことになった。
 
 報酬見直しの理由として各地で多く挙がるのは、議員のなり手不足と議員活動の負担の重さである。確かに、議員の責任の重さに見合う処遇は必要だろう。だが、それは増額を自動的に正当化する理由にはならない。なり手不足を口にする前に、まず議会が住民のために何をしているのかを見える形で示すのが順序ではないか。とりわけ県議は、市町村議に比べて住民との距離が遠い。県政は広域で、議論も専門的になりやすく、日々の活動が見えにくい。本来の役割は、地元の声を県政に届け、県の施策を地域に分かりやすく伝えることにある。いわば地域と県政をつなぐパイプ役である。ところが現実には、どの県議が何を訴え、何を実現しようとしているのかが住民に十分伝わっているとは言い難い。これでは、報酬だけが先に上がったとの反発を招いても無理はない。また、昨年の国勢調査によると、和歌山県の人口は86万4262人で、前回5年前の調査から5万8322人(6・32%)減少している。全国の減少率2・5%であることを見ても和歌山県の人口減が一層加速しているのが分かる。今後は県議も少数精鋭にといった議論の余地も出てくるだろう。
 
 県議会は、増額分に見合う仕事とは何かを自ら厳しく問い直すべきである。議会での発言回数を競うことではない。地域課題をどれだけ丁寧にくみ上げたか。県当局にどこまで具体的な改善を迫ったか。住民への説明をどれだけ尽くしたかである。会議録や中継を公開しているだけでは足りない。県民が知りたいのは、制度の説明ではなく、暮らしにどう役立つ仕事をしたのかという実感である。
 
 報酬引き上げはゴールではない。県民の負担感が増す時代だからこそ、県議には一層の現場主義と説明責任が求められる。足を運び、声を聞き、政策に反映し、その過程と結果を自ら語る。その積み重ねがあって初めて、報酬増額への理解は生まれる。仕事ぶりが見えないままでは、今回の判断は県民感情とのずれを深めるだけだ。県議会は、行動で納得を示してもらいたい。

      10月 9日の記事

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