新宮道場で汗流す
新宮剣友会の宮戸伸之会長(範士=剣道最高位の称号)は、海外での指導を契機に剣道を通じた武道ツーリズムの推進に取り組み、これまでヨーロッパを中心に各国から剣士を招き、国際交流を重ねている。7月28日にはスペインから来日したヒメネス・清水・マリアさん(15)が新宮剣友会道場を訪れ、宮戸会長の指導を受けながら稽古を通じて子どもたちとの交流を深めるとともに、当地の世界遺産観光も満喫した。スペインからの剣士訪問は初めて。
ヒメネスさんはスペイン人の父と日本人の母の間に生まれた。地中海に面したスペイン・マラガ在住で、現在夏休みを利用して来日し、母・光子さんの実家がある横浜市に滞在している。剣道を始めたのは小学5年時。コロナ禍で、来日したもののさまざまな行動が制限される中、「何か習い事を始めたい」と思い、剣道か柔道かで迷ったが、見学に訪れた横浜市の「齊藤道場」の雰囲気が気に入り、剣道に決めた。スペインでは「志音(しおん)」道場に通い、30人ほどの仲間とともに腕を磨いている。段位審査の受験年齢が15歳からで、今年早速初段を取得し、母国ジュニア代表チーム候補にも選ばれた。
今回の訪問は、宮戸会長が6月にヒメネスさんの通う志音道場を講師で訪れたのがきっかけ。剣道の指導と併せて、世界遺産「熊野」のPRも行い、「機会があればぜひ来てほしい」と呼び掛けていた。ヒメネスさんは母・光子さんと、その友人で齊藤道場に所属する細水円さんと3人で27日夜に高速バス(夜行)で横浜を出発し、28日早朝に新宮に到着。日中は宮戸会長の案内で熊野速玉大社、瀞峡、熊野本宮大社を巡り、夜は新宮剣友会道場で汗を流した。翌29日は和歌山県立新宮高校剣道部の練習に参加したあと、熊野那智大社を参拝した。
ヒメネスさんは「宮戸先生や地域の方に受け入れてもらいうれしい。今回学んだことを自分の剣道で生かしていきたい」と語り、当地方の印象については「日本はどこに行っても暑いけど、瀞峡めぐりは涼しくて楽しかった」と笑顔を見せた。
宮戸会長は「一生懸命まじめに取り組んでいるので、何か良いアドバイスをしたい。道場の子どもたち、そして彼女らにそれぞれ得るものがあれば」と話し、武道ツーリズム推進には、剣道を通じて互いに理解し合い、尊重し合う心を育むことを示す言葉「交剣知愛」(こうけんちあい)を挙げ「新宮を訪れた外国人剣士の方々が母国に戻り、当地方の魅力を伝えてもらえれば、地域活性化につながると思う」と期待を寄せた。
