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地域の知、後世に残す 奥熊野の民俗第19号発刊

 紀北民俗研究会の会誌『奥熊野の民俗』の第19号が発刊された。地域の識者16人が林業や東南海地震、地域の生物などについて記している。

 2023年に復活してから、紀北民俗研究会が岡田文化財団などの助成を受け年1回定期刊行している。
 
 19号はB5判110ページで、一部を除いた写真や絵がカラーで印刷されている。
 
 海山郷土資料館館長の松永忠與さんは近代の林業と尾鷲林業についてまとめ、造林政策の推進から外材輸入拡大、気候変動対策といった林政の変遷、明治や大正と現代の価格などの変化を分析している。
 
 三重大学研究員の平野高大さんは「紀州の京戻り」と題し、漁港や集落ごとで魚の呼び方が異なる点に着目し、紀州では〝京戻り〟と呼ばれたハタ科の魚について解説。「魚の名に耳を傾けることは、これまで紀州の人々が歩んできた歴史に、気軽に触れられることでもある」としている。
 
 元尾鷲市教育長の二村直司さんは、花の窟(いわや)の風化穴、山上に載っているゴトビキ岩、那智の滝などを地学の観点から解説している。現教育長の出口隆久さんは串本のカイロスロケット発射の様子を写真を交えて説明している。
 
 長く地域の伝承や民話などを研究してきた元海山町教育長の喜多健さん(故人)の原稿もある。「紀北地域唯一の渓谷美『魚飛渓』」と「西行松の話」の2本で、「魚飛渓とは、どこまでも澄み切って清く青々とした水、その渓流を遡り、鮎が空高く飛びはねる様子から、その名がついたと言われている」などの文から、故人の地域を見てきた眼差しが垣間見える。
 
 編集後記では「世の中はAIの普及など便利になってきているが、これからも、後世に残していくというテーマを持って広く寄稿を募り、刊行を継続していきたい」と記している。
 
 発行部数は130部で、会員分や献本などを除いた60部を1000円で販売している。問い合わせは事務担当の海山郷土資料館(0597-36-1948)。
 

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