尾鷲市の第31回戦没者追悼式が5月31日、尾鷲市民文化会館せぎやまホールで開かれた。市、市社会福祉協議会、遺族会員や来賓など約100人が、黙とうして英霊や戦災死亡者をいたみ、恒久平和への思いを新たにした。昨年に続き、市立輪内中学校の3年生5人が参加した。
国歌斉唱、黙とうに続いて加藤千速市長が式辞を述べ、戦災犠牲者の冥福を祈ったほか、戦中戦後混乱期を乗り越え日本が平和に発展する基礎を作った先人の労苦に感謝を伝えた。また、悲惨な戦争の歴史と教訓を後世に受け継いでいくことの重要性を指摘した。
世界に目を向けると、ロシアの一方的な侵攻によるウクライナとの戦争がいまもなお続いており、中東地域でもイスラエルとパレスチナの問題に加え、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃など、武力による紛争が後を絶たず、罪のない多くの人が傷つき犠牲になっている、と指摘。「平和への思いはいつの時代においても、なにものにも代えがたい普遍の願い。苦難に満ちた先人たちの歩みをあらためて振り返り、戦争の悲惨さと平和の尊さを深く心に刻むとともに、次の世代に継承していく責務を果たす」と力を込めた。
自身が3歳になる直前にアリューシャンで父が戦死している遺族会の真井紀夫会長は追悼の言葉で、「父の顔を私は覚えていない」と悔しさをにじませ、「遺族にとって、戦争のない平和な世の中で暮らせることが何よりの願い。この心情こそ、子々孫々へとつなげていかなければならない」と述べた。
旧町内には日中戦争・太平洋戦争で亡くなった人の慰霊碑がなく、中村山公園にある明治時代に建てられた記念碑が先の大戦のものと勘違いされていると語り、慰霊碑建立についても関係者と考えていきたい、と思いを述べた。
小島智子参議院議員はロシアのウクライナ侵攻や中東情勢などを念頭に「一度始めた戦争は、簡単には終わらない」と指摘。「二度と戦争の惨禍を繰り返すことのないように全力を尽くす」と語った。
小川公明市議会議長、東豊県議会議員の追悼の言葉に続き、輪内中3年生を代表して川口絢音さんが、5人の思いを込めた作文を朗読。修学旅行で訪れた「がま」や「ひめゆり学徒隊」に関する場所で体験したり聞いたりしたことに触れ、「沖縄で学び、平和とは最もかけがえのないものだと学んだ。自分の頭で考え、仲間や周りの人に平和の尊さを伝えていくことが、平和を守るための第一歩だと思う」などと決意を述べた。
この後、参列者が順に祭壇に白菊を献花した。
