8月も終わったが、まだまだ暑い日が続く。夕方の新聞配達で中川沿いを通りながら赤トンボを見かけて、秋来ぬと、と唱えてみる。
夏か秋かは定かではないものの、この時期になると、実家が兼業農家で米の収穫に毎年駆り出されていたからか、ワラと泥の匂いを思い出す。
といっても無理やり働かされていた訳でもなく、ワラと泥に突撃して遊び、土手でおにぎりとみかんを食べていた思い出しかない。一粒の米のありがたみを感じつつ、バッタやカエルを捕まえながら小さな生態系を見て、自然と一次産業について実体験を通じて学ぶこれ以上ない機会だった。
稲作は主食の農業だけでなく、新嘗祭をはじめとした神事や祭り、日本の文化に直結している。米作りをどう守っていくのかは食料安全保障、持続可能な一次産業、自然と景観の維持、日本文化の保存と、さまざま分野にかかわる重要な課題である。
新米は値段が話題になっているが、令和の米騒動が農業、ひいては一次産業の活性化の前向きな議論の契機になればよい。
(R)
