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紀南抄「今を生きる人の意識一つ」

 米軍による原爆投下から80年、広島市は6日、平和記念公園で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を行った。松井市長はあいさつで「核兵器廃絶への思いを市民社会の総意にしていかなければ」との思いを語った。

 市長が指す社会とは、何を言うのだろうか。日本社会だろうか。それとも人間社会全体だろうか。あえてどちらとも取れる言い方をしたのかもしれない。

 「今の時代を作れるのは、今を生きてる人間だけだよ」とは、漫画ワンピースのセリフ。悼むことも、悔やむことも、悲しむことも、立ち止まることも、前を向くことも、下を向くことも、立ち上がることも、祝うことも、願うことも、祈ることも、今を生きている人間に与えられた選択肢だ。

 例えば「未来は暗い」と言う人と、「未来は明るい」と言う人がいたとする。事実は誰にもわからない。しかし、人の意識や思いは実際の行動に結びつき、それが結果となって表れる。

 大事なのは過去から何を学び、今をどう生きるかだ。われわれの意識一つで、平和は具現化していくのではないか。それを「総意」と呼ばせてほしい。

【稜】

      8月 7日の記事

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