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紀南抄「霧に見る」

 霧は美しい。山肌からまるで湯気でも出ているかのようにぼおっと立ち上り、静かに雄大に流れていく。色は白いが、完全に真っ白なわけではない。濃いところと薄いところがあり、山の緑が見え隠れする。雨の日に山の景色を見るのが楽しみである理由の1つは、こういったところにある。あれがすべて水でできているというから面白い。

 海から流れ出した水が上昇気流に乗って雲になり、降り注いで大地を潤し、川となって流れ出していく。奇跡的な循環。この星は水によって満たされ、またあらゆるものが水でつながっている。

 そういえば、人の身体も多くは水分でできているらしい。のどが渇けば水を飲むし、老廃物も水を通して出していく。脳みその仕事は、物事を区別して扱いやすいようにして考えることだ。だから分離する。あの人とこの人、あの国とこの国、身内とよそ者、人間と自然。しかし、実のところわれわれは多くを共有している。

 母の胎内も水であった。生き物の最初のすみかも水であった。汚れを流すのも水であった。熊野の山々に立ち込める霧に、生かされていることを教わる。

【稜】

      7月14日の記事

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