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社説「駅構内店舗 市も主体的に」

 新宮市観光協会は今年度、一般社団法人化に向け、組織改革検討委員会を設置する。現在はみなし法人のため、法人名義の契約ができないことや、国などの補助金の対象外となることもあり、財政基盤が脆弱。一日約300人の来訪者への観光案内業務に多くの時間を費やしているため、推進事業の実施がなかなか進められない現状がある。一般社団法人化はこれらの解消に向けたもので、同協会関係者と市の観光関係の幹部職員ら12人で組織する検討委で準備を進めていく。

 「ポテンシャル(潜在能力)は十分ある。もっとうまくPRを」という趣旨の声は、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録された2004年当初からある。自分たちはPRできているつもりが、外部から第三者的に見ればそれができていないという。同協会には体制強化を機に、柔軟性を持った取り組みが求められる。
 
 先日の総会では、新たな事業として、JR新宮駅構内の空きスペースに土産物販売所を開設する計画を明かした。観光客へのサービス向上と地元特産品の発信を目的とするもので、運営は事業者に委託する。契約事業者が施設使用料を協会に収め、運営業務によって得られる販売収益は事業者の収入になるという仕組み。土産物販売業務に加え、協会と連携した観光案内を行うことなどを業務にしているが、販売する商品や仕入れ先は事業者の裁量になる。
 
 和歌山県の首都圏アンテナショップとして東京・有楽町に店舗を構える「わかやま紀州館」。「東京で出会える和歌山の恵み」をコンセプトに、和歌山自慢の商品が並び、イートインコーナーでも和歌山ならではの商品が味わえる。隣接する観光センターではパンフレットによる案内や観光相談にも対応している。
 
 市の玄関口である駅構内の店舗で、そこでの印象が市全体のイメージにつながると言っても過言ではない。バランスのとれた商品ラインナップが求められ、情報発信基地として大きな役割を担うことにもなる。県のアンテナショップを参考に、観光協会あるいは市も主体的に関わるべき事業ではないか。官民協働で取り組むことで、顧客目線のサービス強化につながることも期待できる。放任ではなく共に歩む姿勢を見せてほしい。
 

      6月27日の記事

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