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紀南抄「阪神淡路大震災から30年」

 阪神淡路大震災(1995年1月17日)から30年が経つ。96年生まれの私は、震災のことを伝え聞いて知っている程度だ。最も身近に感じるものといえば、大阪の祖母宅の食器棚。ティーカップやワイングラスなどが並ぶが、ほとんどは対になるものが欠けている。地震で棚から食器が落ちてペアが崩れたのだ。

 同震災による死者数は6434人。ほとんどは自宅での家屋倒壊や家具転倒による圧迫死で、一部は火災など他の原因による死者も。9割以上は即死だったと言われている。

 15日には、新宮署が災害警備訓練を行った。災害対応に当たる第2機動隊は20代を中心とする若手署員で構成され、同震災を経験した人はほとんどいないという。自分を含めこういった世代には、「知らなかった」で終わらぬよう、学ぶ姿勢が求められるのだと胸が引き締まる思いだった。

 生きていれば、なんの予告も、心の準備もなく、突然に失われることがある。必要以上に不安に駆られることもない。ただ死者を思う時、そこから教訓を得て、新たな犠牲を少しでも減らすことが、心ばかりの弔いに思える。

【稜】

      1月16日の記事

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