那智勝浦町浜ノ宮の祖母の実家がなくなっていた。叔父が知らせてくれて、久しぶりに見に行ってみると、建物は跡形もなく消えて更地になっていた。幼いころに何度か訪れただけの遠い記憶しかないが、日用雑貨店を営んでおり、お菓子をもらっては喜んでいた。
どんな様子だったのか気になってグーグルマップで調べてみると、ザ・昭和な雰囲気の横に長い建物がまだ地図上に残っていた。正直、外観はよく覚えてはいなかったが、近くにあるお宮さんで遊んだことを思い出した。
また父に連れられて那智の浜に海水浴にもよく行った。まだ今のようにきれいなブルービーチとしては整備されていなかったと思う。那智駅から線路の下をくぐる小さくて暗いトンネルに入るのが怖かったが、そこを抜けると目の前に広がる海にワクワクしたものだった。
今はもうほとんど周辺に行くことはないし、昔の記憶もあいまいだが、取り壊された跡地を見ると何となく物悲しい。はっきりとは言わなかったが、叔父もきっと寂しい気持ちになったに違いない。
【織】