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紀南抄「論理の弱点」

 論理的思考が大事と、学校でも教わったし、社会人になってもちらほら聞く。友人の中には、相手と論戦を張ってどちらが強いかを試すのが好きな者もいる。近頃は「論破バトル」などと称して、1対1の討論で勝敗を審査するバラエティ番組も流行している。
 
 しかし、論理には大きな弱点がある。それは、対人関係の中では、論理を相手にしない人には全くと言ってよいほど役に立たないということだ。つまり、いくら論理的思考力を高めて言葉を鋭く研ぎ澄ましたところで、「うるせえ」といって顔面を殴ってくる相手には、全く効き目がないのだ。論理的に正しくても、人は最後は感情で動く。
 
 誰かと接する時には、正しさよりも「話の分かるやつ」であれるかどうか、「この人なら信じられそうだ」と思われるかどうかの方が、結果的に大きなメリットを得られたりする。特にビジネスにおいて、相手を論破することなどほとんどの場合悪手でしかない。
 
 哲学者カントは「知性・感情・意志(知情意)」を説いた。要はバランスである。教育は知性に偏る傾向があるが、感情・意志はどこで育つのだろうか。
 
【稜】

      11月14日の記事

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