警戒しているせいもあるが、今年に入ってからこの地域でもクマの目撃情報が続く。秋は冬眠に向けて食べ物を求めて活動が活発化する時期で、安心できる材料がない。
紀北町を見ると、馬越峠、上里、矢口浦、十須、ツヅラト峠などで目撃されており、人家近くに出没する個体が複数いると推測される。人が襲われたツヅラト峠では捕獲や駆除の情報はない。養蜂箱が襲われた十須では錯誤捕獲され、人里に近づかぬように学習放獣された。特に危機感が強いのは、小学校付近に出没した上里。
見通しを良くするために草を刈り、行政、住民、保護者ともども現在の体制では出来得る限りの対策を行っているが、それでも子どもたちの安心が確保されたとは言い切れない。
中国で日本人児童が襲撃されて亡くなる痛ましい事件があった。事件の背景や対応について思うところはあるが、子どもが不安なく暮らせることが社会基盤の必要条件であることに議論の余地はない。少なくとも、これ以上被害を受ける人が出ないことを祈ることしかできない。
(R)