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社説「複合災害に備える」

 元日の能登半島地震の被災地を大雨が襲った。大雨特別警報が発表され、輪島市、珠洲市、能登町などで土砂くずれや河川の氾濫(はんらん)など甚大な被害が出た。まず、お亡くなりになった方のご冥福を祈るとともに、被災された方々にお見舞い申し上げたい。
 
 石川県では一昨年夏にも豪雨被害があった。今回は能登半島地震の復興に取り掛かったところ。二重災害に遭い、生活再建はできない、とあきらめてしまう気持ちもよく理解できる。
 
 複合災害、多重災害は日本のどこでも起こり得る。南海トラフ地震の想定震源域ではその危険性が高い。
 
 複合災害にもいろいろなパターンがあるが、一番起こりやすいのは地震・津波と大雨だろう。地震・津波の復興には時間がかかる。南海トラフ地震の場合、被害を受ける区域は広大で、地方ほど復興が遅れる可能性が高い。地震から3年後や5年後であっても、地震の影響でぜい弱になっている所に大雨が降り、普段なら起こらない被害が出るかもしれない。
 
 次に考えられるのは、地震と地震の組み合わせ。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表される半割れの時は、東紀州は高い確率で最初の地震による揺れまたは津波で被害を受けると思われる。再建・復興の途中に2度目の地震がある可能性がある。
 
 個人の視点で言えば、最初の災害の後、落ち着いたら速やかに次の災害に備える心構えをもつことが大切。備蓄の補充などは個人の役割だが、例えば住宅の補強などは補助の上積みが求められる。
 
 政府・行政としては、復旧・復興に2次被害の防止を念頭に置くこと。
 
 また、金銭的な支援の仕組みも必要。2度目の災害の再建資金を確保できる人はほとんどいないだろう。
 
 一気に変えられるものではないが、目標を定め、少しずつでも個人レベルの強じん化が進む仕組みづくりに期待したい。

      9月28日の記事

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