クマアラート(警報)発表
三重県によると14日午後4時ごろ、大紀町大内山の熊野古道・ツヅラト峠のふもとで、古道を歩いていた大阪府の70代女性がツキノワグマに教われてけがをした。県は15日、大紀町と紀北町に県クマアラート(警報)を発表し、注意を呼び掛けている。
県みどり共生推進課によると、14日午後4時ごろ、女性がツヅラト峠を下山して集落に近づいたところ、ツキノワグマに教われ、頭や肩、太ももなどを爪で引っかかれたという。また、右足を骨折し、伊勢市内の病院に搬送された。
集落から約350メートル、紀北町境から約1キロの場所という。ツヅラト峠山頂付近では12日午前6時30分ごろに、熊野古道を歩いていた人がクマを目撃していた。
大紀町と紀北町は登山口に注意看板を設置するとともに、防災無線による注意喚起などを行った。県は、猟友会と連携したパトロール体制の強化、被害防止のための捕獲(駆除)やクマ専用捕獲檻(おり)の町への貸し出しを行うことにしている。
なお、警報発令後、紀北町では18日午前4時30分ごろに便ノ山鷲下地区の国道42号沿いでクマらしき動物、7時30分ごろに長島加田地区の国道42号線沿いでクマが目撃されている。
クマアラートは、県内でのツキノワグマの出没件数が過去最高だった昨年度を大幅に上回る状況となっていることから、県民により注意喚起する目的で10日に導入された。警報は、クマによる被害が出た場合などに市町単位で、注意報は目撃数が過去5年平均の2倍を超えた場合に農林(水産)事務所単位で発表する。期間は発表から2か月間。
同課はクマに遭わないため
- 山野(森林内)等に立ち入る際は、鈴、笛、ラジオなどの音のするものを携帯し、単独行動は避ける
- 早朝や夕方、雨や風の強い日に山野(森林内)等に立ち入る際は特に注意する
- 見通しの悪い場所に不用意に入らないようにする
- クマの餌となるもの(生ゴミ、不要となった果実や農作物など)は除去し、クマを誘引するもの(ミツバチの巣箱、家畜飼料、塗料や燃料など)は鍵のかかる場所で保管するなどして適切に管理する
—ことを、クマに遭遇した場合は
- クマから目を離さずにゆっくり後ずさりしながらその場を離れる
- クマが襲ってきたら、避難または防御姿勢をとる
—ことを呼び掛けている。
尾鷲、熊野管内は注意報
尾鷲市泉町で18日午前5時30分ごろ、民家の庭に体長約1メートルのクマが入り込んでいたのが目撃された。住民の女性が市に通報した。
住宅街で、民家に入り込んでいたことから市は近隣の自治会長に連絡するほか、警察や県などとともにパトロールを強化し警戒を強めている。19日午前6時10分ごろにも目撃情報があった。
市は尾鷲署、県尾鷲農林水産部などと情報共有するとともに、防災行政無線を通じて市民に不要不急の外出を控えることなど注意喚起している。
尾鷲農林水産事務所管内での目撃情報が18日現在で今月7件目となり、平均値の2倍(4件)を越えたことから、県は尾鷲市に対して県クマアラート(注意報)を発表した。
熊野市飛鳥町佐渡も15日、今月2回目の目撃情報があり、熊野農林事務所管内の過去5年の平均目撃件数(1件)の2倍を超えたことから、熊野市、御浜町、紀宝町にクマアラート(注意報)を発表した。 同課によると8月18日現在、県内で73件の目撃情報がある。6月以降大幅に増加している。