世界は見方により、見方は世界を変える。
夕飯の食材はいつも、仕事終わりにスーパーで買う。ただ一度に大量に作りそれを少しずつ食べるようにしているため、必然的に条件に合う料理はカレーやチゲ鍋などと限られてきて、自動的に買う食材もある程度パターン化してくる。
しかし先日、私は立ち上がった。大体いつもは野菜と肉と牛乳と不足した調味料をかごに入れたらそのままレジに向かっているのだが、あえてこれまで全く買おうとも思ったことがないようなものをかごに入れようと、店内を歩き出したのである。
「人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては大きな飛躍だ」と史上初めて月面に降りたアームストロング氏は言ったが、まさしく私にとってはそんな瞬間であった。なぜなら、その時からスーパーを歩くのが楽しくなったからである。いつも同じ風景だと思っていた店内は、よく見ればまだ私の知らないものがたくさん置いてあり、それを買うという選択を私は取れるのだという事実が、私が自由であるということを教えてくれていた。
足元の花に気付けた時、日々は彩りを得る。
【稜】