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紀南抄「社会人教育」

 新宮高校で14日に開催された教員向けの研修会。その中で再三強調されていたのは、社会で活躍できる人材を育成することである。

 日本の近代教育は明治の教育勅語の中、理想的な国民を育てる「国民教育」に始まり、それが終戦で教科書を黒い墨で塗り尽くし一変。日本国憲法のもと、権利と主体のある市民として社会の一員を育てる「市民教育」に変わり久しかったというのが私の見方なのだが、今回の新宮高校の研修で、それもはっきりと変わり、現在は「社会人教育」になっているのだと実感した。

 理想的な社会人を育てる教育。前者の2つと異なるのは、子どもに理由も意味もわからぬまま形を教え込むような、映画「ベスト・キッド」の床磨き・ワックスがけに代表される型の教育ではなく、子どもの内側から来る「なぜ」を発端とした主体的な行動に焦点を当て、社会に出た後も自分の頭で考え、行動し、深堀りしていくことを求める点である。

 子どもの自主性を温かく見守るのが片田舎の十八番だとしたら、新宮高校の取り組みが全国に先駆ける事例となり、大きく化ける可能性は十分にある。

【稜】

      6月17日の記事

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