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社説「迅速な復興へ 登記推進を」

 今年元日に発生した能登半島地震の被災地では、全壊や半壊と判定された家屋の公費解体工事が進められる中、所有者を特定できない空き家の解体が課題となっている。土地や建物を相続した際の登記は今月1日から義務化されたが、これまで登記は任意だったため、亡くなった人の名義のまま何年も経過しているケースが多く、東日本大震災や熊本地震でも解体までに時間を要して問題となったように、復興事業の遅れにつながることが懸念されている。

 不動産登記簿等を参照しても所有者が直ちに判明しない土地や、所有者が判明しても所有者に連絡がつかない土地、いわゆる「所有者不明土地」は全国的に増加しており、合わせると九州の面積よりも広いと言われている。所有者不明土地が発生する主な原因としては、土地の相続の際に登記の名義変更が行われなかったり、所有者が転居したときに住所変更の登記が行われなかったりすることが挙げられる。長い間、相続登記をしないまま放置しておくことで、土地の相続に関係する人が増え、所有者を特定するのに時間と労力がかかり、結果として被災地の復旧・復興に時間がかかる。
 
 近い将来の南海トラフ地震の発生が予想される当地方でも起こり得る問題だ。有事の際の作業を少しでも効率よく進めるため、今回の相続登記義務化を広く浸透させ、推進していくことが求められる。法律では、自分のために相続があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが規定されており、正当な理由なく登記しない場合には、10万円以下の過料の対象になる。これは施行日よりも前に開始した相続についても適用される。
 
 新宮市では、空き家等対策計画の中などで今回の相続登記義務化を広報紙などで積極的に啓発していく。制度の周知を繰り返すとともに、登記が進まなかった場合に復興事業の妨げになるだけでなく、周辺の環境や治安の悪化を招く状況にもつながることを伝えることも申請を加速させるために必要ではないか。一方で、住民もこの機会に自分の住んでいる家や実家などの登記がどのようになっているのかを確認し、相続登記を進めることが大切になる。
 

      4月19日の記事

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