三重県立熊野古道センターは2月11日(日)まで企画展「流れ谷の自然と暮らし」を行っている。
パネルや映像、実物やはく製などの展示で、熊野市飛鳥町や五郷町の大俣川流域の自然、歴史、文化を紹介する企画。
四方を山に囲まれた標高200メートルから380メートルの場所で、平地が極めて少なく、尾鷲市や熊野市の海岸部に比べると年間を通し気温が低い。昔から林業が盛んで「なすび伐り」と呼ばれる、太い木だけを選んで伐採する手法が取り入れられた。一方、年貢に苦しみ、大規模な一揆が起こり多くの人が犠牲になるなど悲しい歴史もある。
展示は、気候や「なすび伐り」の紹介、大きなのこぎりなど木挽(こび)き道具の展示、「カルコ」という木の棒を使って木に登って行う杉の立皮はぎの説明など林業に関係するもののほか、年貢に苦しんでいることを示す古文書、伊勢の遊郭に売られた「油屋お紺」にまつわる話や地元に残る伝承、大井谷の蛍の乱舞や360度映像による地域の美しい風景などで構成。尾鷲や新鹿、木本、奈良方面などに通じる道についても解説している。
担当の井田光彦さんは「飛鳥、五郷地区は東紀州の中でも閉ざされた地域で独特の文化がある。普段は行く用事がある人も少ない。展示を見て、自然や歴史などについて知ってもらえれば」と話していた。