今年の日本シリーズは激戦の末、阪神が38年ぶりに日本一となった。復帰直後の湯浅京己投手の登板は難しいか、と思っていたら、4戦目の一打逆転の危機に起用された。4か月以上1軍を離れていた投手をぶっつけ本番で登板させるという勝負師の采配は、「湯浅の一球」として、今後の日本シリーズの名場面として振り返られることになる。
すごいものを見たと思っていたら、次の試合で1イニングを抑えた後で打線が爆発して逆転したため、試合途中ながら「日本シリーズの勝利投手に」という記事を書き始めて、勝利後のインタビューを待つことになった。
「8回の男」としての飛躍、球宴での直球勝負、WBCの三者三振に続き、本当に華のある、絵になる活躍をする選手だな、と改めて思う。
昨シーズンの活躍はコロナ禍で暗いニュースが多い中、湯浅投手の投球に励まされ続けた、という思いがある。今シーズンは苦しむ姿を見てきたが、けがを乗り越えて甲子園の大歓声を浴びながら登板する姿を、きっと忘れることはないだろう。
(R)