岸田首相が掲げる「異次元の少子化対策」の具体案は未発表だが、児童手当の所得制限撤廃や、出産費用の保険適用など、目先のお金を配る政策が強調されている。
もはや経済的な支援だけで少子化は止められないはずだ。昔に比べて結婚しない人の割合が増え、出生率が低下した。東京一極集中で、地方にいては結婚できない格差がますます広がる。
子どもを産む世代の流出は顕著で、令和4年度の調べで三重県は、転出者が転入者を上回る「転出超過」が3875人を数えた。その約8割が15~29歳の若者で、さらに約6割の約1900人が女性である。少子化対策は、若い世代の流出を抑制する対策と両輪で取り組まないと意味がない。
経済的支援の拡充だけで子どもを産むのではない。生活を支える基盤、つまり安定した仕事が約束されないと、そこに居住するはずもない。一方で地方から出ていった人で膨れ上がる東京の出生率は全国最低。「異次元…」の掛け声も「産めよ増やせよ」とほざいているだけに聞こえる。
(N)