うちの母が、特殊詐欺の被害に遭いかけたことがある。未払い金があるとかで、現金数十万円を指定の口座に振り込むよう電話口で要求されたという。母は振り込む直前まで準備を進めていた。
特殊詐欺の犯人は手を替え品を替え、お金をだまし取る。和歌山県警によると昨年度までは公的機関を名乗り還付金があるなどとしてお金を振り込ませる「還付金詐欺」が最も多かった。しかし今年は警察の対策もあってか還付金詐欺は鳴りを潜め、代わりに料金の未納など虚偽のおしらせでお金を要求する「架空料金請求詐欺」が最も多くなっているという。
仕事で特殊詐欺防止の取り組みも取材させてもらうが、今回のことがあって改めて他人事ではないと認識した。金銭的な被害に遭うのは高齢者かもしれないが、その家族も悲しい気持ちになったり、支援したりするとすれば、若いから関係ないとは到底言えない。
幸いうちの母は振り込む前に父(夫)に相談して事なきを得た。最も大切なのは一人で悩まず誰かに相談することであると講演でも聞いたことがあるが、どうやら本当らしい。まだ見ぬ手口はこれからも生まれる。教訓にしたい。
【稜】