秋の深まりとともに肌寒く感じる日が多くなり、暖房器具をそろそろ準備するという家庭や職場も多いのではないだろうか。11月9日(水)~15日(火)は令和4年秋季全国火災予防運動が実施される。空気が乾燥し、火災が発生しやすい時季を迎えるにあたり、火災予防思想の一層の普及を図り、火災の発生を防止するための運動で、各消防本部や関係団体が啓発活動を展開する。
新宮市消防本部では、暖房器具を使用する際、正しく使用しなければ火災につながるおそれがあるとして、注意を呼び掛ける。灯油を燃料とする石油ストーブに関しては、最近の製品はさまざまな安全装置が付いているものの、古いものだと一層の注意が必要。前のシーズンの灯油を機器に残したままで再使用する場合、換気のいい場所で燃焼テストを行った方がよい。本来であれば、残った灯油はポリタンクに戻しておくのが推奨されている。
電気コードを伴う器具は収納時にコードを固く束ねないことが大切。折り返すように束ねてゴムなどで固定し長期間置くと、コード内のより線が断線し、出火の危険性がある。コードは束ねずに輪っか状にして保管することが求められる。
器具に付着したほこりもきれいに取り除いてから使用すること、暖房器具の周囲に燃えやすいものを置かないことも周知。部屋干ししていた洗濯物が器具の上に落ちて火災になったケースも少なくないことから、「基本的な使用方法を守ってほしい」と伝えている。
火災によって発生する煙を感知、音や音声の警報を発して火災の発生を知らせる住宅用火災警報器は、早期の発見、避難に有効だ。2006年6月から設置が義務化され、全ての住宅(500平方メートル以下の共同住宅・アパート等も含む)に取り付けなければならない。設置率(令和3年6月時点)は全国で83.1%だが、和歌山県77.0%、三重県77.3%と共に全国を下回っている。一方で、警報器の電池寿命はおおむね10年とされており、この機会に動作確認を行い、必要に応じて交換を進めることが求められる。
当地域では、1人暮らしの高齢者が増えている。家族や近所の人が、暖房器具の正しい使用方法を再度周知し、就寝や外出前の火の元確認を呼び掛けるなど、隣近所で協力して高齢者宅から火災を起こさない取り組みを進めてほしい。火災は一瞬にして人命と財産を奪う。各自治体も広報紙などを使い、繰り返しの周知に努めるべきではないか。