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紀南抄「大水害11年で改めて思う」

 紀伊半島大水害から11年が経過した。11年前の9月3日夜から4日朝にかけて、会社に待機し災害対応に備えていた。日付が変わる前ごろ、那智勝浦町役場に出向き、「太田川の水位は大丈夫ですか」と尋ねた。上流に小匠ダムがあり、放流でかなり水位が上がっているのがわかっていたからだ。役場は「今のところ大丈夫です」と返答。当方もそれ以上聞くことをしなかった。そのころ、那智川では水位がどんどん上がり、日付が変わった午前1時ごろには氾濫し、土石流が発生した。
 
 夜が明けると、各地の甚大な被害が徐々に明らかに。あの熊野川が下流部で氾濫し、熊野大橋上が濁流と流木で覆われていた。那智勝浦町天満のJRの鉄橋が流され、線路が宙づりになっていた。社員が手分けして各所を回り、シャッターを切った。
 
 しばらくは災害現場の取材に明け暮れた。被害の様子を記録として残すこと、被災者にとって希望となるような情報を掲載すること、何を求められているのかを考えながらの紙面づくりだった。
 
 毎年この時期になると思う。普段から防災への意識を持ってもらうためには、新聞の果たすべき役割も大きいと。
 
 【F】

      9月 6日の記事

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