国土防衛と防衛予算のあり方が参議院議員選挙のテーマになっている。力がないと狙われるというのは、ある程度正しいが、〝度を超す〟と軍拡競争になる。難しいのは、誰もが納得できる適正な「程度」が存在しないことだろう。
「核兵器をもっていれば抑止力になる」との見方もできるし、「まずそこが狙われる」という議論もうなずける。「敵基地攻撃能力」でも同じことが言える。
日本の防衛費はGDPの1%という目安がある。NATOが2%以上を目標にしていて、同様の目安が設定される見込みになった。賃金が上がっていないとは言え、日本のGDPは500兆円を超え世界3位。2%となると国の一般会計の約1割となる。
有事に力を出し切れるように体制を整えることは大事だが、社会保障や教育、環境保全など予算が必要な事項は多い。全体のバランスの中で決める必要がある。
参院選が終わると、3年後まで国政選挙はないと言われている。防衛費の問題だけでなく、暮らしや憲法改正のことなど、しっかり考えて意思表示をしたい。特に、選挙権を得て初めての若者には記念の一票となる。適切な権利行使を呼び掛けたい。
(M)