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紀南抄「人と災害」

 梅雨を迎え、出水期とされる時期になった。各地で防災に対する取り組みが強化されている。

 私は自分の命に差し迫るような災害を体験したことがないが、東日本大地震のあった数週間後、ボランティアに行く知人に同行させてもらい、中学生ながら被災後の岩手県釜石市の地を踏んだ。津波に飲み込まれあたり一面が更地と化し、誰のものともわからぬ思い出の生活品が全てがれきの山となっていた。

 津波から生き延びた人々の宴会にも参加させてもらったが、何を感じればいいのかわからなかった。ただ、災害は多くの命を飲み込んでしまう。いつ起こるかわからない。生き残るかどうかは、本当に紙一重の差でしかない。そんな今考えれば当たり前のような事実を、被災地のありありとした光景として、そして何も知らなかった自分自身の傷として、鈍く痛めつけられるように実感したのである。

 被災地で、当時からすぐに開けていたラーメン屋があった。プレハブ小屋のお店に地元の人たちも足を運んでいた。圧倒的な災害を前に悲しむのが人間ならば、そこから立ち直るのもまた人間である。

 今からでもできることを考える。

【稜】

      6月20日の記事

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