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紀南抄「雨に濡れて」

 14日に近畿・東海地方が梅雨入り。本格的な雨の季節が到来した。これから約1か月あまり、ジメジメした気候が続いていく。
 
 雨は、時と場合やとらえる人によって大きく印象が変わる。どちらかというとマイナスのイメージを持つ人の方が多いのではないだろうか。本来なら、晴天と同じぐらい大切なものであるのに、外の仕事や屋外イベントなど、天候に左右される場合は特に残念な扱いを受ける。降りすぎると災害の危険性も高まる。
 
 一方で、干ばつ地帯や水不足の年などには、恵みの雨だと重宝される。雨にしっとり濡れるアジサイは風情があるし、お気に入りの傘をさすとテンションが上がる。また、映画やアニメなどでは効果的な演出に使われ、作品に深みを与えている。雨を題材にした失恋の歌も共感できる。
 
 一言で雨といっても、梅雨、春雨、通り雨、氷雨、時雨、夕立など実に多様。四季折々の変化が豊かな日本人の生活と密接に関わってきた証拠だという。発想と視点を変えることで、雨の日だって楽しむことができる。梅雨入り初日の冷たい雨に打たれながら、そんなことを考えた夜だった。
 
【織】

      6月15日の記事

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