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紀南抄「沖縄の本土復帰記念式典」

 沖縄の本土復帰50周年を記念して15日、式典が行われた。沖縄は戦後、1972年までアメリカの統治下に置かれていた。

 大学時代を沖縄で過ごしたが、19歳で最初に那覇空港に降り立ち印象的だったのはムワッとした亜熱帯の空気の次に、上空を悠々と飛ぶオスプレイだった。戦争が終わったというのは本当か。その時浮かんだ疑問は今も疑問のままである。

 沖縄の米軍基地問題は、日本みんなで考えなければいけない。注意すべきは何を指して「問題」と呼ぶかだ。沖縄に米軍基地が集中していることか、日本国内に米軍基地があることか、はたまた海を埋め立てて基地を建設することか、全国的な関心の低さなのか…。それぞれが別々に論じられなければならない。

 式典で日本国旗に向けて国歌を斉唱していた地元出身のあのテノール歌手は、何を思っていただろう。想像することしか、論じることしかできないかもしれないが、それでいいというのが私の意見である。政治的発言がタブー視されがちなこの国で、小さくても関心を持ち話に上げるという行為そのものが、名も知らぬ御霊へのせめてもの祈りだと思うのである。

【稜】

      5月16日の記事

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