名古屋地方気象台は5日、東海地方で「春一番」が吹いたと発表した。立春から春分までの間に、日本海で低気圧が発達し、広い範囲で初めて吹く、暖かく、風速8メートル以上の強い南寄り(東南東から西南西)の風。尾鷲でも午後1時台から西南西の風に代わり、3時台には最大風速で9メートルを超えた。最高気温は1時30分に5月初旬並みの22.2度まで上がった。
春一番と聞くと春の訪れを告げる優しいイメージがあるが、その語源について気象庁は、能登地方や志摩地方から西の各地で昔から使われていたなどさまざまだが、中でも長崎県壱岐郡郷ノ浦町で、1859(安政6)年の旧暦2月13日(新暦3月17日)に五島沖に出漁した漁師53人全員が突風に遭って遭難。これを機に郷ノ浦の元居地区では、春の初めの強い南風を「春一」または「春一番」と呼ぶようになったと紹介している。
強い南風の後には強い北風が吹いて、突風を伴うことも珍しくないことから、春一番は季節の便りであるとともに、防災予防情報でもある。この日の尾鷲の最大瞬間風速は21.8メートル。固定が甘いトタンが音を立て、それを感じさせた。
(J)