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紀南抄「読者からの言葉励みに」

 取材で各所に出向く際、「自分の後ろには読者がいる」という意識で臨んでいる。ほのぼのとした雰囲気で笑顔が絶えない取材もあれば、いわゆる火事場の緊迫した取材も。交通事故や火災現場で写真撮影をしている際、関係者から怒鳴られ、葛藤したこともあったが、「人権に小心 報道は大胆」という社訓を胸に、読者のことを思い浮かべながら、伝える仕事の使命を果たすことを考えている。

 何より励みになるのは読者や取材先からの声だ。先日、配達漏(も)れの読者から連絡をいただき、お宅まで届けに出向いた。応対してくれた高齢の女性に「大変申し訳ございません」と伝え新聞を手渡すと、「これ(新聞)がないと寂しい。毎日届くのが楽しみ」と笑顔で話してくれた。うれしくて目頭が熱くなった。

 2011年の紀伊半島大水害で本宮地区の販売店が被災し、読者に新聞を配達できない状態になった。しばらくの間、避難所に無料で新聞を届けたが、その際、「私たちの情報源が来た」と新聞を心待ちにしてくれた女性たちの声も忘れられない。

 これからも読者に有益な情報を届けるため、一つ一つの取材を大切にしたい。

【F】

      2月22日の記事

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