全国大学ラグビー選手権の決勝で帝京大が明治大を下し、4大会ぶり10度目の大学日本一に輝いた。そしてこの日、新宮市出身で帝京大の岩出雅之監督の勇退も発表された。
前人未踏の9連覇を果たした名将。プロ野球の巨人軍のV9は有名だが、毎年選手が入れ替わる学生スポーツでの9連覇は並大抵ではない。岩出監督の卓越した指導力で学生たちの実力を余すことなく発揮できた結果だろう。
岩出監督と親交があり、決勝戦を観戦した新宮商工会議所顧問の夏山晃一さんは「得点差以上の完勝」と評した。準決勝でタックルが甘かったことを反省。決勝戦前に岩出監督が「ラグビーはタックルやぞ」と選手にげきを飛ばしたことを明かし、「本当に素晴らしい指導者」とたたえる。
上下関係の厳しい大学スポーツの中で、帝京大は上級生が雑務をこなし、下級生が練習に集中できる環境を作っている。試合に通ずるコミュニケーションが普段からできているのも常勝軍団の理由のひとつ。しばしの休息のあとは、ラグビー界全体のために再び力を発揮できるポジションについてほしい。夏山さんはそのように期待を込めたが、同感だ。
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