今年は寅(とら)年。日牛や馬、犬や猫などに比べて身近な動物というわけではないがトラにちなんだことわざはたくさんある。
「虎の威を借(か)る狐」強い者をバックに威張っている大したことのない人物を指す。出展は『戦国策』で2000年の歴史のある言葉だ。また、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という句もよく聞く。トラの巣穴に入らなければトラの子どもを獲得できないということから「危険をおかさなければ大きな成功や功名は得られない」ということを示す。
「前門の虎、後門の狼」。一つの災難を逃れても、またもう一つの災難が襲ってくることのたとえだが、「逃げ場がない」ことを言う時にも使われる。「虎視眈々(こしたんたん)」は強い者が機会をねらって形勢をうかがっているようす。トラが鋭い目でじっと獲物を狙っているところから。トラは強い者に例えられるケースが多い。「龍虎」と対比されることもある。
「苛政(かせい)は虎よりも猛(たけ)し」というのもある。「苛政」は、重税や弾圧などによる厳しい政治を指す。「悪政は人を食い殺す虎よりも恐ろしい」という表現。政治家には心に留めておいてもらいたい。
(M)