三重県紀北地域活性化局と県立熊野古道センターは、同センターロビーで、企画展「東紀州今昔物語 名所図会と行く紀伊之国」を行っている。江戸時代後期の2つの図絵と写本、現在の写真で、東紀州地域の魅力を伝えている。
同センターの開館15周年企画の一つ。みえ熊野学研究会が『紀伊国名所図会』(1811年から刊行)を、同センターが『西国三十三所名所図会』(1853年刊行)を所蔵しており、貴重な原書を借りられたことから、昔と今の風景を見比べてもらおうと企画した。
原書と写本合わせて11点と、パネル11枚で構成。パネルは図絵の荷坂峠や八鬼山を描いた部分を拡大したものや、馬越峠の岩船地蔵や八鬼山荒神堂付近、鬼ヶ城や獅子岩を取り上げた部分を現在の写真とともに紹介している。
このうち荒神堂付近は『西国三十三所名所図会』では、「八鬼山嶺 荒神茶屋」として取り上げられていて、3段の石垣の上に大小2つの板ぶきの建物が書かれている。また、解説によると「道には石を敷いて固めているが坂が急で、杖をつくのを過ったら必ず転倒する」「日輪寺は八鬼山の嶺より一町こちら(尾鷲)側にある。本尊は三宝荒神で弘法大師作。脇に阿弥陀仏と観世音菩薩、薬師如来がある。茶屋があり、餅を打っている。俗に荒神茶屋とよばれる。もっとも、峠には人家がない。ここで休憩するのがよい」と記されている。
『紀伊国名所図会』の鬼ヶ城は、井戸、有馬が見える場所を取り上げている。当時は岩が波のように海側にせり出していたが、現在は落下してしまっているのが分かる。
紀北地域活性化局の安井瑛美さんは「昔と今を比べ、変わっているところ、変わっていないところを見てもらえば面白いと思う」と観覧を呼び掛けている。
来年1月31日まで。12月31日と元日は休館。