文字入力の変換は時に、思わぬ世界にわれわれを連れて行ってくれる。記事の執筆段階で入力する際に誤変換してしまったものをリストにしている。
お気に入りの誤変換は、「鬼が乗船」。本当は「鬼ヶ城線」という道路の名称を書きたかったが、不思議な作品に仕上がった。お気に入りポイントは物語が始まりそうなところである。船出で、もうすぐ出発というタイミングで急に鬼が乗船してきてみんながドン引きしている場面を想像して、一人で笑いをこらえるのに必死であった。
「適度な摩擦」と入力しようとした時の「適度な勝(まさる)」という誤変換も秀逸である。妄想が広がる。おそらくこの「勝くん」は一緒にいて安心感があり、大げさに盛り上がったりはしないが周囲と馴染み、適度に接しやすくてみんなから愛されているのだろう。顔はさっぱりしている。
仕事は創造的でなければならないと思う。そのために肝要なのは遊び心だ。時には自分の外にある機能や無意識の自分に頼りながらそれを育む必要がある。創造性は、必ずしも意識的に持とうと思ってモテるものではない。あ、また「持てる」を「モテる」としてしまった。
【稜】