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紀南抄「船名に『丸』をつけるのは?」

 「にっぽん丸」が新宮港に入出港した。「創作太鼓・紀宝楽」が演奏すると、乗船客が拍手を送り、手を振って別れを惜しんでいた。送る方は「また来てねー」と見送る。送られる方は「また来るよー」と応える。
 
 船の名前には「氷川丸」「海王丸」など、「丸」がつくものが多い。その起源ははっきりしないそうだが、平安時代末期のころには、すでに「丸」が使われていたという。
 
 京都の仁和寺に文治3(1187)年の古文書に「板東丸」とあるのが、もっとも古い例といわれている。昔は柿本人麻呂とか阿倍仲麻呂のように、人名に「麻呂」(麿)という字を用いた。また、自分のことを「麻呂」といったが、船名の「丸」は、自分のことをいう「麻呂」が転化したものという説がある。自分のことを「麻呂」といったところから、自分の大事にあるもの、たとえば刀や楽器、そして船にも「麻呂」=「丸」をつけるようになったのではないかと推察されている。
 
 明治33(1900)年に「船舶法取扱手続」という規則が制定され、船舶の名前はなるべくその末尾に「丸」の字をつけるようにと決められていたが、この規則は平成13年に廃止されている。
 
【茂】

      3月30日の記事

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