梅雨前線の活発化で全国的に雨の日が続き、特に九州を中心に大きな被害が出ている。本格的な台風シーズンも控え、全国どこでも災害が発生してもおかしくない。今年は新型コロナウイルス感染症対策も行いながら、どのように避難所を運営するのか、自治体には大きな課題となっている。
いわゆる3密(密閉・密集・密接)を避けるため、有事の際、指定の避難所には向かわず、マイカーを使った車中泊を選ぶ人が増えるのではとの見方がある。本紙エリアでは、これまでの災害時に車中泊が散見されたということはないが、コロナ禍の避難を考えれば、今年は選択肢の一つとして考えている家庭もあるはず。全国の自治体によっては、避難可能な駐車場を公表し、トイレの有無や駐車台数といった情報もホームページなどで発信しているところもあるようだ。
車中泊は感染リスクが減り、プライバシーが保たれる利点がある一方、雨の中に車で移動していた人が亡くなる事例が今回の九州でも見られ、また、車中泊が続くことでエコノミークラス症候群を発症する恐れもある。エコノミークラス症候群とは、体を動かさないことで血行が悪くなったり、水分不足で血液がどろどろになったりして、足の静脈に血の塊ができることで発症する。
車中泊を選んだ場合、適度に体を動かしたり、水分をこまめにとったりすることを意識することが必要。車を止める場所にも注意が必要で、狭い空間でエンジンをかけっぱなしにすれば一酸化炭素中毒の恐れがある。携行品として水や食料、携帯トイレ、アルコール消毒液などを用意する。体に負担のかかる高齢者や妊婦は避けたほうがよい。
那智勝浦町や紀宝町では、コロナ禍の避難所運営訓練が行われたが、運営する職員らにとっても初めてのケースで、混乱が生じる可能性はある。新宮市や那智勝浦町では、宿泊施設への避難に補助を出す支援策を打ち出し、縁故避難の促進も周知している。
短時間に激しい雨が降らなくても、今回のように何日も降り続けば各所で地盤がゆるみ、土砂崩れの危険性も高まる。家族でさまざまなケースを想定し、避難行動計画を立てておくのが大切だ。