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不連続線「春の詩句」

 先だって「菜の花や月は東に日は西に」という風景を写真に撮ろうとしたが、思い通りには撮れなかった。記事を書く際、思いめぐらせていると学校で習った春に関する詩句がいくつか思い出された。

 「春眠暁を覚えず」。盛唐の詩人・孟浩然の五言絶句。のんびりした雰囲気が感じられる。何年か前に、勤め人の感覚ではない、というような解説を聞いた。「春宵一刻値千金」。北宋の政治家、書家の蘇軾の作品。冒頭のこの部分だけ記憶に残っている。
 
 和歌ならやはり桜か「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」。紀友則の作品で百人一首に採られている。『土佐日記』で知られる紀貫之はいとこ。「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」。『伊勢物語』の色男、在原業平の作。時節柄、総理大臣の顔が浮かんできた。
 
 「春の海ひねもすのたりのたりかな」は、菜の花の俳句とともに与謝蕪村の作品。穏やかさが心地よい。句は記憶に残っているが作者名は忘れていた。
 
 新型コロナウイルス感染症の拡大で、世間は大混乱。のどかな春がどこかに行ってしまった。一日も早く、穏やかな春に戻ってほしい。
 
        (M)
 

      3月16日の記事

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