新宮市に拠点を置くNPO法人「Go−Kuma−Kids」(ゴークマキッズ)は28・29の両日、大阪府などからの中高生らを招いて交流会を行った。地元中高生13人、関係者12人を含む総勢30人以上が集まり、座談会や観光を通して、紀南地域の魅力と課題について理解を深め合った。
次世代リーダーの育成を目指す「Go−Kuma−Kids」は、地域の未来を担う子どもたちにふるさとに対する思いを養ってもらうため、自然体験や職業体験などの各種イベントを開催して、遊びや学びの場を提供している。
今回は、同法人理事の廣瀬拓哉さんが代表を務める「TEAM SWYK」(チームさわやか)の活動の一環として実施。廣瀬さんは大阪府出身だが、新宮市の近畿大学附属新宮高校で野球部のキャプテンを務めるなど、熊野を第2の故郷として親しんでいるという。
大阪の公立高校で4年間教師を勤めたあと、JICAの活動で野球指導者としてブラジルへ渡るなど活躍の場を広げ、南米と日本をつなぐ取り組みも積極的に行っている。今月始めには、ペルーと新宮をオンラインでつないでラジオ体操を同時に行う催しを開催した。
交流会初日は、始めに全員で那智山観光へ。語り部ガイドの案内で大門坂を上り、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、那智の滝を歩いて回った。このあと新宮市仲之町の「カラーズ」に移動し、夕食を兼ねて座談会。和やかな雰囲気で意見交換をして親睦を深めた。翌日は市内観光を行った。
座談会では、近大新宮高校を卒業し、この春から大阪大学に入学する前田一成さんが「新宮市の現状分析−データでみる新宮市の観光と人口−」をテーマにしたプレゼンも行った。前田さんは「紀伊半島南部は広範囲で大学0地帯が広がっている。高校生が大学等に進学するためには地元を離れなければならない。就職で帰郷する割合が少ないので、人口が減ってしまっているのでは」と見解を示し、「観光に頼らない解決策を一緒に考えていきましょう」と提案した。
廣瀬さんは「子どもたちに学校で学べないことをたくさん知ってほしいという思いで活動している。人生で大切なことは『人のつながり』。さまざまな人をつなぐハブの役割をして、私たち大人が子どもの夢を叶えるサポートをしていきたい」と話していた。