サイクリストの視点で説明
尾鷲観光物産協会は13日、市立中央公民館で、サイクルツーリズム推進に向けたセミナーを開いた。同市の地域おこし協力隊員で、自転車で各地を訪れたことのある戸田昌良さんが「自転車乗りの生態調査 彼らが何を求めているか」をテーマに講話した。
東紀州では、東紀州地域振興公社を中心に「東紀州サイクリング活用推進協議会」を立ち上げ、自転車を使って移動する観光客の誘致を進めている。この日は市内の宿泊施設や物販事業者、同公社の職員ら約20人が出席した。
戸田さんは昭和49年、栃木県那須塩原市生まれ。平成23年ごろから夫婦でサイクリングを始め、ロードバイクで東北各県を回ったり、プロサイクリングチーム立ち上げや自転車イベントに関わった経験がある。
戸田さんは、自身が使っているロードバイクを紹介し「50万円以上かかっている」と説明。自転車を趣味にしている人は「経済的に余力のある人が多いのでは」と推測を紹介し「目玉商品など、高価格で設定しても買ってくれる可能性がある」と話した。また、店や商品が気に入ったら、あとで車で立ち寄ることもあると話した。
また、自転車もその部品も高価でかつ軽いことから、盗難が常に心配とも説明。自転車を持ち込める部屋のある旅館や、保管場所のある飲食店やコンビニエンスストアがあればいいと説明。宿泊施設なら「1部屋でも2部屋でも、このような部屋の設定があるという形でPRができる」と述べたほか、輪行時はペダルとかみ合う専用のシューズを履いていて普通の靴を持ち運ぶのは荷物になることから「宿で履物を貸してくれると助かる」と話した。また、保管スペースを設けた喫茶店に自転車乗りが集まるようになった、という事例を紹介した。
戸田さんは、一日最大240キロを走破し、その日は約11時間ペダルをこいでいたと述べ、「お腹がすく。よく食べて、よく飲んでもらえる可能性がある」と説明。また、辺鄙(へんぴ)な場所にあること、車の駐車場が狭いことはサイクリストを誘致する場合は問題にならないとの認識を示した。一方で、車と同様長距離を移動することから「通過される懸念もある」と指摘。「サイクルツーリストにとって魅力ある目的地になるようにしないといけない」と呼び掛けた。