尾鷲市中村町の尾鷲市立中央公民館1階の郷土室でミニ展示「尾鷲で触れる紫式部の世界」が行われている。
NHK大河ドラマ「光る君へ」が放送されており、主人公のモデルとなった紫式部や『源氏物語』に関する展覧会が行われている中、それらの展示会に行きにくい尾鷲でも雰囲気を味わってもらおうと企画した。
いずれも中村山土井家文庫所蔵の古書から、『紫式部日記』の記述の引用や『紫式部集』にある和歌、江戸時代に発行された絵入りの源氏物語の版本など13点を取り上げ、紫式部の生涯を誕生から晩年まで8区分で紹介する内容。
学芸員の脇田大輔さんは「和歌の意味が分かると、人間性や性格が垣間見られる。どんな人物だったか、和歌から読み取ってもらえるとうれしい」と話している。
取り上げた本の刊行時期は、不明なものもあるが江戸時代から明治時代のもの。土井氏が代々収集したものとみられる。土井家文庫には雑多な分野の本があり、土井家以外の人の蔵書印や書き込みがある本もある。刊行された時期に土井氏が買ったものでなく、後代になって収集した可能性が高いとみられる。脇田さんは「本を集めるのが趣味だったほか、教養として集めていた部分があるのでは」と分析している。
コーナーには、解説文も設置しており、市教育委員会生涯学習課は「図書館や中央公民館にお越しの際に、気軽に立ち寄ってほしい」と呼び掛けている。