紀北町中里の海山郷土資料館で、特別展「この地域を描いた三人の画家たち」が開かれており、大藤春鳥(量平)、濱口佐蔵、青木健斉の3氏の作品22点を展示している。31日(日)まで。
大藤氏の作品は、平成2年に大藤氏の新盆供養として遺作をまとめた『尾鷲の海と空』から7点を展示。終戦直後の尾鷲港や瀬木山、脇の浜などが描かれており、港での荷揚げや木材の積み出しなど海で働く人々の姿や、北川河口に放置されていた第14号駆潜艇の姿も確認できる。
濱口氏は明治38年に紀北町海野に生まれ、地元の学校で美術の教諭として教鞭をとる傍ら、水彩画展に多数出品し、昭和31年に日展に入選。今回は緑の中の白が際立つ『小浦の梅林』、木々の合間から海と船、まちなみがのぞく『尾鷲港 瀬木山』、生い茂る木々の緑が水面に映る『白石湖畔』など7点を展示している。
尾鷲市北浦町の妙長寺住職だった青木氏は、趣味として尾鷲の街角の気に入った場所をスケッチして水彩画として残してきた。今回は北川沿いのまちなみや明慶橋、カフェサツキ、たこ辻などまちなかを描いた8点が並んでいる。
家崎彰主事は「大藤氏が描いた尾鷲港の絵には北川河口に乗り上げた第14駆潜艇が風景の一部として描かれている。濱口佐蔵氏は九州のギャラリーの回顧展の様子がユーチューブに紹介されている。青木健斉さんの生い立ちや生き様が知れて、企画して良かった。この地域には掘り起こすべき個性的な人物がまだまだいそうだと感じた」と話している。
開館時間は午前9時から午後4時30分まで。毎週月曜日と祝日は休館。