水道管損壊で長期断水必至
尾鷲市では南海トラフ地震が発生した場合、発災直後に市内ほぼ全世帯が断水すると想定されている。熊本地震では八代市など3市町で断水が1か月続き、電気より水道の復旧が深刻だった。三重県の被害想定でも東紀州沿岸部は津波と強い揺れで水道管の損壊が大きく、尾鷲市の断水回復見込みは7日後で1%、1か月後でも3%にとどまる。市水道部は浄水場や管路が甚大な被害を受けた場合、蛇口から再び水が出るまで「少なくとも半年以上かかる」とみている。
尾鷲地区の約1万2000人に給水する矢ノ浜浄水場は2008年に更新され、旧施設より2メートル高い海抜8メートルにかさ上げした。津波浸水域にあるが、管理棟は鉄筋コンクリート造りで1階に窓を設けず、水密式扉を採用し、周囲が冠水してもろ過・送水ポンプを守る構造だ。
矢ノ川を水源とする取水井戸は塩害を受けるが、桂山配水池(5750トン)と光ヶ丘配水池(1000トン)は揺れや管路破断を感知すると緊急遮断弁が作動し、水の流出を防ぐ。浄水場の2つのタンク(計5800トン)も貯水に使え、非常用飲料水は総計約1万トンを確保できる。
しかし管路は至る所で破損し送水は困難となる。尾鷲市の管路耐震化率は5.4%と低く、道路寸断も避けられないため、どのように市民へ給水するかが最大の課題だ。
8地区に分かれる簡易水道も配水池の浸水や管破損、海水混入の危険があり、配管を直せても道路寸断で修理に行けない可能性がある。尾鷲から最も行きづらい須賀利では、停電や断水時に住民が手回しポンプで飲み水を確保できるよう、地震時のみ自動で鍵が開く仕組みを備えている。
