紀北町中里の海山郷土資料館で、企画展「紀北・尾鷲の文字文化」が開かれていて、海山郷土史研究会の機関誌「封堠」や、土井治らが筆を執った「熊野文化」、一昨年復活した「奥熊野の民俗」など、会誌や随筆、句集など180点が展示されている。27日(土)まで。
紀北町には江戸時代から石倉一入子、服部慶乗、三浦樗良といった俳人を輩出し、漁火吟社や海山俳句会、古里句会、芙蓉俳句会、かつらぎ俳句会と、住民が俳句活動を楽しんできた歴史がある。文化の秋にちなみ、俳句や短歌、随筆だけでなく、地域を広げて出品した。
地域の文化振興のために昭和26年から発刊された総合雑誌『熊野文化』が全15号がそろっている。濱口進平の「不吉な学生服」(第3号)、土井治の「尾鷲人という人間」(第8号)、石倉武七の「熊野灘沿岸の言語」(第14号)など、かつてのこの地の文人の叡智を垣間見ることができる。
ほかにも、村田青坡の『青坡のたわ言』、太田寿がまとめた『尾鷲市年表』や『尾鷲の言葉』、土井信子の『花舟』檜山繁樹名義の『青春』、北村博司の『奔流 浜口熊嶽の生涯』など、この地で生きてきた人々が書いてきた文書が並んでいる。
家崎彰主事は「文字化した資料は道具などよりも多くの情報を含んでおり、ときが経てば時代の語り部になる。現在も続けているサークルの活動にも頭が下がり、地道に調べ文字資料としてまとめて発表し続ける活動を応援したい」と述べ、「古文書はもちろん、不用と思われる昔のチラシやパンフレットなどがあったら、ぜひ資料館まで知らせてほしい」と話している。
開館は午前9時から午後4時30分まで。毎週月曜日と祝日は休館。
問い合わせは、海山郷土資料館(0597-36-1948)。
