コロナ禍明け以降、昨年度の世界遺産登録20周年もあって当地方へのインバウンド客(訪日外国人客)が増加している。13日には大阪・関西万博の開幕を控えており、万博の来場者が当地方に多数訪れることも期待されている。
和歌山県は昨年9月と10月、さらに今年2月、首都圏や京阪神を中心に、旅行会社やメディアに向けたプロモーション活動を市町村と連携して実施した。昨秋の段階では万博開幕まで時間があったため反応はそこまでだったが、2月の活動では徐々に機運が高まり、いくつかのメディアで取り上げられた。県内誘客では、世界遺産を核として各エリアの観光資源を生かしたPRのほか、JR西日本グループと連携の「プラスワントリップ和歌山キャンペーン」を展開する。県万博推進課によると、万博開催による県内の観光消費による経済効果は330億円と試算。来訪者は189万人を見込んでいる。
観光を主力産業の一つとする当地方にとっても、世界遺産20周年から万博へ流れを切らすことなく誘客に努めることが大切だが、各市町村がそれぞれPRするよりも、体験~食事~移動~宿泊まで一連のプランを打ち出すなど、広域で連携した方が得策ではないか。万博の関西パビリオン近くの多目的エリアでは、県が各振興局単位で出展する日があり、こうした機会を生かして当地方の魅力を余すことなく伝えてほしい。
当地方のインバウンドへの対応は、観光案内所など要所では整っているが、各地点で見るとまだまだ不十分なところもある。案内看板が目立っていないことや新宮市の世界遺産・神倉神社に案内対応できる職員が常駐すればという声は以前から聞かれる。新宮市は今年1月から3月にかけて、市内を訪れるインバウンドを対象にアンケート調査を実施した。現状分析とおもてなし向上を目的としたもので、調査で得られた情報やデータを有効活用して今後の観光行政に生かす構えで、「要望事項があればできる限り対応できるよう努めたい」としていた。
今年は観光に力を入れると田岡実千年市長は繰り返し発言している。万博の流れに乗って地域経済を潤おすため、近隣とも連携しながら、今からでもできることは積極的に行ってもらいたい。