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社説「駅周辺の整備開発 積極的に」

 多様な人々が集まる駅や駅周辺を拠点にまちづくりを進める地域は多い。当地方では人口減少や道路網の整備により駅周辺のにぎわいが以前に比べると減退している。まちの顔ともいえる駅の存在をどのようにしていくのか、課題である。

 御浜町阿田和のJR阿田和駅舎は老朽化と白アリ被害のため、令和8年1月以降JR東海により撤去される。この件について報告を受けた町議会は全員協議会で、町の玄関口である駅周辺の整備開発のチャンスでもあるとして、駅舎利用の先進事例を参考に町当局が大きな計画を示し、民間への事業の呼び掛けを含め積極的に取り組むよう求めた。また、今月に実施した町政懇談会では住民から、今と同じようなデザインで建て直し、住民の交流スペースとして利用することや、検討会議などを設けて議論することなどの提案があった。
 
 先進事例には、三重県玉城町のJR参宮線・田丸駅がある。今年4月、旧駅舎を模したデザインで町が整備した新駅舎がオープン。待合室の隣に交流スペースが設けられ、多様な人々が集い、つながる場として定着している。旧駅舎は1世紀以上の歴史があり、映画の撮影に使われたこともあった。しかし、老朽化により昨年JR東海が解体。簡素な駅になる予定だったが、町が跡地を借りて旧駅舎と同じ瓦葺きの木造駅舎を建設した。駅は無人だが、交流スペースの隣には観光協会の職員が常駐する事務所を設け、周辺の観光案内に努めている。
 
 国土交通省は、一昨年「駅まちデザインの手引き」を公表した。利用者目線に立ち、所有区分等を超え、駅・駅前広場・周辺市街地を「駅まち空間」として一体的に捉えて、関係者が連携し、計画・整備・管理運営を行う方向を目指すべきとしている。
 
 阿田和駅周辺の整備開発について、行政には建設事業費等の負担はあるが、駅単独ではなくまちづくりの観点で議論すれば、必要経費と考えることができる。年中みかんのとれるまちをPRするため駅舎を斬新的なデザインとしたり、柑橘の歴史を紹介する資料館を併設したりしてはどうか。
 
 また、関西圏・東海圏からの観光客の玄関口となる新宮駅についても、周辺を含めた整備開発を考えるべきだろう。駅構内の待合所の有効活用、駅前広場に整備予定のトイレを含め、まちなかへ誘客するための導線を分かりやすくする必要がある。行政や関係機関には、創意工夫によってにぎわいを取り戻すことを常に考えてもらいたい。
 

      10月18日の記事

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