東京の直面した課題に向き合う報道番組で、「脱東京」の大胆な提言があった。高速道路、新幹線、飛行機の三大高速交通網の無料化だ。家賃の高い都心から離れた地に住んで子育てをする。東京まで最短1時間半の仙台も通勤圏内になる。東京に置く必要のない会社はやがて地方に分散していくという。提唱者は「たった7兆円でやれる」と話した。
明確な争点がなかった東京都知事選で3選を果たした現職の小池百合子氏は、子育て支援策の拡充をアピールしていたが、これは東京に住むことが前提になり、一極集中を促すものだ。都の人口を減らす発想などないのだろう。
とはいえ東紀州地域は都心の通勤圏ではないし、会社の地方移転も関係ない。逆に地方で希望の仕事がないから都市への移住を選択する。その明白な動機が個人に存在し続ける限り、東京一極集中の流れは変えられない。
地方都市の活性化は「そこに住み続けたい」という住民が増えることにほかならない。住民が誇りを持ち、愛着を感じるまちが原点だ。
(N)