三輪崎保育園で14日、チェリスト・ミヤタコーヘイさんによる演奏会があった。束縛的なクラシック音楽に対する疑問、父親への反骨心などから自らを「クラシックの反逆者」と名乗り、チェロを手にジャズ、ポップスなどの旋律を奏でるその様子に、にぎやかな子どもたちも集中して聞き入っていた。
園児の「なんでそんなに音楽ができるんですか」という質問に、ミヤタさんは「みんなみたいにうまく話せなかったから」と答えた。言葉がうまく出てこない分が音楽で表現されたという。話し言葉より書き言葉での表現にカタルシスを感じる私も、その考えに共感を覚え聞いていた。
人は元来表現者なのだろう。幼い頃から、その時感じたことを素直に口にし、力いっぱいに動き回り、悲しい時や悔しい時は人目もはばからず泣きじゃくった。身体を通じて外界に行うあらゆる活動が表現ならば、話すのが苦手でも、いや苦手だからこそ、その反動で押し出されるように育つ芽があるはず。環境による圧迫が起こすフラストレーションと自己の解放。その両翼を可能性と呼ぼう。愉快な演奏会だった。
【稜】